
男どもは結婚を神聖だなどという。 それこそ神をも人をもあざむく台詞というものだ。 そしていつでも、その台詞の迷惑をこうむるのは、 純潔無垢な、理想の女性とでも言うべき乙女なのだ。

つまらないことに熱情を感じてよく記憶していること、 これが女の一番の特徴である。 数年前の友達と交わした世間話の中に出てきたこまごましたくだらないことを その気になればいつでも正確に話せるのである。 しかもやりきれないことに、女はいつでもその気になるのである。
「I love you」という言葉に初めて二葉亭四迷がぶつかったとき、どう訳すか悩んだらしいんですよ。今みたいに「好き」とか「愛している」とか使わない時代ですから。それで、何と訳したと思います? 「私は死んでもいい」・・・と。