行く河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず、 よどみに浮かぶ泡沫は、且つ消え、且つ結びて、久しくとどまりたるためしなし、 世の中にある人と住家と、またかくの如し。
中世日本に生きた多才な異才、鴨長明。歌人、そして随筆家として、激動の世の無常を深く見つめ、『方丈記』に代表されるその言葉は、現代を生きる私たちにも静かに問いかけます。しかし、彼は筆を執るだけではありませんでした。神職の家系に生まれながら、リュート(琵琶)の妙技を極めた音楽家でもあったのです。文学、音楽、そして信仰。様々な顔を持つ彼の生涯は、まさに時代を映す鏡。その深遠な思想と、心揺さぶる名言の数々に触れてみませんか。