本当に芸に一身をぶち込んでやれば、 眼のある人はきっと見てくれます。
他人の芸を見て、 あいつは下手だなと思ったら、 そいつは自分と同じくらい。 同じくらいだなと思ったら、 かなり上。 うまいなあと感じたら、 とてつもなく先へ行っている。
落語の神様と称された古今亭志ん生。彼の言葉には、芸の深淵を覗き込むような洞察と、人間への温かい眼差しが宿る。他者の芸を評する際に見せる謙虚な姿勢は、自身の芸道への飽くなき探求心を物語る。また、芸に全身全霊を傾ければ、必ず理解者が現れるという揺るぎない信念は、ひたむきな努力が報われることを示唆する。その飄々とした語り口の裏には、芸に命を捧げた男の魂が息づいている。彼の言葉は、今も多くの人々の心に響き渡る。